ラーメン浅野vol.1(大分市中央町)
ピーンと張りつめたような冷たい空気がオイラの回りを囲んでいる。
息をするのも痛いくらいに、それは冷たい空間である。
駅前の交差点。
横断歩道を急ぎ足で行き過ぎる人の波を目で追ってみる。
あくせくと何に視点を合わせているというのか、実に世話しなく歩く人達。
だけど、今のオイラには、それが何故か生きてるってことのように‥感じさせられて‥
家路に向かうその波の先には、やすらぎが迎えてくれるのだろうか。
かじかんだ手でコートの襟元を高く立て、今は冷たい風に吹かれながらでも前に歩いてゆこう。
オイラに、やすらぎは出迎えてくれなくとも、やがて必ず来るだろう、春を信じて。
冷たい身体を暖めてくれる一杯。
今夜も【ラーメン浅野】に訪麺しよう。
(* ^^ *)
オイラが来店した21:00前。
先客は、若い男女が2人だけだった。
「うい~す」
浅野君に声をかけ、手前のカウンターに腰掛ける。
若い男女も来店したばかりとみえ、ラーメン待ちだったようだ。
直ぐに二人の前に2杯の味玉ラーメンが差し出された。
「今日はね、しょうゆにしようかな」とオイラ。
「はぁ~い」と軽く言葉を返した浅野君だが、ご存知の通りの細麺である。
慣れた手つきでチャッチャと仕上がったしょうゆとんこつは2分と掛からずオイラの前にに運ばれて来た。
( ^ ^ )
海苔、小ネギ、胡麻、大判なチャーシュー1枚に黒胡椒をひと振り。
表面に浮いた透明の油の隙間から、白い湯気が熱さを自慢するかのような立ち上っている。
「寒い日は、これに限るよな」とスープを啜るオイラに、「暖まりますからね」と答える浅野君だが、ホントは「暑くても寒くても、ラーメンを食べてるんじゃないっすか」と言いたいんだろうなと思い、自分でクスッと笑みが込み上げて来た。
( ^ ^ ;)
そもそもが、意外に透明感のある浅野のスープ。
そのデフォルトのスープが淡い醤油色に染まっている。
ベースのスープにこの醤油ダレは、オイラ的に絶妙のバランスだと思っている。
あっさりとした豚骨丸鶏スープをただ醤油味にしただけの安易な主張なんかじゃなく、そもそもが持つ出汁の旨味を醤油ダレのコクで相乗的に引き上げているバランス‥そう、マリアージュ。
やや多めに浮いた油も特にしつこさを感じさせず、スープのコクを引き立てるに十分な仕事をしているようだ。
(●^o^●)
濃厚なド豚骨を好む若者達からしてみれば、やはり優しさをインパクトの弱さと取り違える感は歪めないかもしれないが、純粋に食材から生まれた手作りの妙は、冷たいオイラの身体を包んでくれるには十分なパートナーとなっている。
醤油ダレがデフォルトのスープの持つ特徴を壊さず、それぞれが主張し合いながらも、見つめ合うのでは無く同じ方向を向いているマリアージュ。
( ̄ー ̄)
飲み進むうちに、その淡い希望にも似た旨味が口の中いっぱいに広がって来た。
チャーシューは、いつもの大判な肩ロースが一枚乗る。
相変わらず幅広く厚みがあるチャーシューである。
( ^ ^ )
《ラーメン浅野vol.2に続く》
関連記事